耳鳴り外来


耳鳴りの自己増殖悪性サイクル
耳鳴り音は聴覚系の一部の神経細胞、神経線維に変化が起こり、その一部の聴覚系の活動が増幅助長された結果です。その際、脳は外部の音が全く存在しなくても一部の聴覚系の活動の増幅助長を音として捕らえてしまいます。
耳鳴りに悩みだすと、脳は耳鳴り音を認識すると共に大脳辺縁系や自律神経系に変化を与えてしまいます。
脳が一旦耳鳴り音を記憶固定し認識すると、耳鳴り音以外の現実の音より優先させて認識し始めます。脳は耳鳴り音に焦点を集中する傾向を持ち始めます。
この変化は大脳の皮質下領域で行われます。この領域は普段、意識下での音のフィルタリングが行われる場所です。
フィルタリング機能とは、騒々しい混んだ中に自分が居ることを認識し、騒々しい中で自分の名前が呼ばれても自分が呼ばれていると気付く能力です。
脳が一旦耳鳴り音を認識すると、このフィルタリング機能を使って耳鳴り音を、現実の音より優先させて更に認識し始めます。 究極的には慢性的に耳鳴り音に焦点を集中する傾向を持ってしまいます。
この時点で脳の感情センター(大脳辺縁系)も巻き込まれてしまうことがあります。
大脳辺縁系は感情を制御する場所で耳鳴音の発生を恐怖として負のラベル付けをしてしまいます。更に自律神経系が恐怖に対して闘争反応というストレスを作ります。
様々なストレス反応は、耳鳴音に対する感度、感受性を更に増加させます。(院長は耳鳴りのワナと患者様に説明しておられます)
耳鳴りが耳鳴りを大きくする、抜け出しようの無い、耳鳴りの自己増殖悪性サイクルに陥ります。
グルグル回ってしまう自己増殖タイプの耳鳴りは、聞こえの神経を切断しても続くことがあります。
この悪性サイクルを断ち切るのが耳鳴りの治療です。


Neurophysiological model of tinnitus depicting full activation, including activation of non-auditory limbic and autonomic nervous system structures that are responsible for the emotional and negative reactions to the tinnitus. This engagement of both conscious and subconscious neuronal circuitry gives rise to the awareness and annoyance associated with distressing tinnitus (After Jastreboff[21])
21. Jastreboff PJ. Tinnitus as a phantom perception: Theories and clinical implications. In: Vernon J, Moller AR, editors. Mechanisms of Tinnitus. Boston: Allyn and Bacon; 1995. pp. 73–94.
